【書評vol.3】流体機械-基礎理論から応用まで-

書評

山本誠・太田有・新関良樹・宮川和芳 著

総評

評価:★★★★☆

流体機械は様々な分野で用いられています。宇宙から携帯までいろいろと使われていますので製造系の仕事をされている方はすでに持っているという人もいるのではないでしょうか。

本書の全ページ数としては300頁程度となります。内容はターボ機械の原理から、ポンプや水車、圧縮機まで基礎的なものが記載されています。

流体機械関係の業務ではまずは手元に置いて仕事に取り掛かりたいと思う一冊です。

強み

浅く広くを学ぶにはもってこいだと思います。

エネルギーバランスをどのようにとる必要があるのかをまず、知ることができます。本書の特に良いなと思うところは、流体機械のサージングやキャビテーションについて、理論的に書かれていることです。

設備技術などに携わっている方は、サージングやキャビテーションを防止するための対策をどのようにするのかなどを検討していることもあると思います。その場合、理論的に考えてみると解決策が見えてきます。

 また、圧縮機の動力低下をどのようにするのかも順を追って読んでいけば理解できます。『多段圧縮(中間冷却あり)の場合、圧縮比を同値にすることで動力を最小にすることができる』というのも、式を見れば分かりますが自分では思いつかない内容でした。

弱み

 本書の中にも記載がありますが、流体機械の付属機器に関しては専門書を参考にする必要があります。例えば、ベアリングや潤滑油も少し書かれていますが詳細には別の本が必要になると思います。

ガスタービンや蒸気タービンについても割かれているページ数は少なく、例えばランキンサイクルには多少触れられているだけです。あまり理論的に書かれておらず物足りなさは感じると思います。

さいごに

流体機械関係の本をいろいろと探して、『浅く広く知識をつけたい』という思いから本書を手にしました。

私としては、手に取って満足できる内容でした。ポンプや蒸気タービンに関しての本は別に持っていますが、一番読みやすいと感じています。(専門書は読みにくいなと最初から身構えているかもしれませんが・・・)

流体機械の検討をされる人には手に取っていただきたい本となります。

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